うさぎを飼っている。
ミニウサギ(という名の雑種)で、名前に似わず微妙にでかい。
毛並みもまだらで、愛想がない。
でも愛おしい。
外出する時は必ず小屋の前に寄り、名前を呼び、顔を見て、何か食べさせる。
うさぎの毛ってあんな気持ちがいいものなんだね。
あまり抱かせてくれないけれど、毛を撫でているだけで幸せだ。
猫座りしてじっとしていたり、足を崩してうとうとと眠そうにしていたり、元気にぴょんぴょん跳ね回っていたりする。
ペットは僕より先に死ぬ。
僕のうさぎもいつかは死んでしまう。
もし死んだら毛皮が欲しいな、と思った。
ペットの毛皮が欲しいなんて歪んだ欲求なのだろうか。
その毛皮を見て、触って、うさぎの温もりを忘れたくないだけなんだけど。
例えば死んだ夫の遺品を肌身離さずもっているのはおかしくない。
でも死んだ夫の歯を肌身離さずもっているのは、一般的にはおかしい。
僕もその行為には違和感を感じるけど、まぁ個人の自由だよね。
でもうさぎの毛皮を手に入れたところで、それはうさぎの毛皮に過ぎず。
うさぎではなく、うさぎの毛皮を愛していたと、記憶が改竄されそうで嫌だ。
しかし生きているものを愛して、死んだら愛してはいけないなんてルールはない。